ECサイト運営のマーケティングに参考にしたいショッピングの”熱さ”を忘れる仕組み

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記憶についての研究者として、名高いヘルマン・エビングハウスの忘却曲線は、ご存知の方も多いと思いますが、ECサイト運営者にとっても、貴重な研究結果の一つです。記憶とは異なりますが、購入体験の感情の熱量については、筆者のこれまでの調査では、必ずしも忘却曲線とは一致しないものの、かなり近い動きをしているという感触を得ています。

別の記事で紹介した、商品の認知から、商品到着までのチャートは以下のようになっています(弊社調べ)

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エビングハウスの忘却曲線(wikipedia)についてはこちら

お客様はどんなきっかけで購入し、いつその購入体験の感情を忘れるのか?

まず、きっかけについてですが、経済産業省が2013年9月にまとめた電子商取引による市場調査の結果によれば、日本(調査対象年度は2012年)では、「これまで知らなかった、あるいは興味がなかった商品・サービスの存在を知り、興味を持つこと」の上位に下記のような媒体が挙がっています。高い順に抽出。

○TV番組・CM
○雑誌・新聞などの記事・広告
○提供事業者のHP、web広告、ニュースサイト、メールマガジン
○実店舗店頭(店頭での実物の確認、店員からの紹介等)
○知人からの紹介(対面、電話、メール等による紹介
○クチコミサイト・比較サイト

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経済産業省による電子商取引に関する市場調査の結果はこちらから(2013.9.27)

上位には、旧来のメディアが並んでおり、依然として、ネット以外からの認知(TV、雑誌、新聞、実店舗など)が高いという結果となっています。また、インターネットでは、HPやweb広告、ニュースサイト、メールマガジンなどが上位に食い込んでいます。

では、そうした認知の後、購入に至り、そして、”忘れる”のはいつ頃でしょうか?

まず”忘れる”ことにつきましては、少し説明を要しますので、先に簡単に説明させて頂きます。

まず、買い物をしたことそのものを忘れるということではなく、商品認知から商品到着に至るまでの”感情の熱量”を忘れるということです。

また、感情の熱量も、購入した商品や購入した金額などその背景にある事由などにより、事情は異なってきます。

例えば、感情の熱量の低下を説明するのに分かりやすい例としては、記憶のメソッドとして代表的な日常性と非日常性があります。世界記憶力選手権でも数多くの優勝経験を誇るドミニク・オブライエンもその著書で語っていますが、記憶は非日常性があれば、あるほど忘れにくくなります。

結婚式を挙げた日、離婚した日、マイホームを購入した日などなど・・・人生にそう何度も経験することがない日は、たしかに人間は忘れにくいものかもしれません。

そうした特性を前提としますと、非日常性が強いことが予想される商材、例えば、ブライダルリングやウェディングドレス、車、バイク、高級時計、宝石などの購入頻度がそれほど多くない商材(一部の高額所得者などを除く)については、”忘れにくい=感情の熱量が下がりにくい”商材であると言えます。

一方、いわゆるコモディティ(汎用)化された商品については、忘れやすい=感情の熱量の低下の程度が標準的な商材と言えるかもしれません。

では、そうした”感情の熱量”のサイクルをどのようにマーケティングに生かしたらいいのでしょうか?

感情の熱量の低下とともに購入のハードルが下がる

上でも説明しましたが、商材や購入に至る背景により、感情の熱量の低下の程度は異なりますので、全ての商材に適応可能というわけではありませんが、筆者のこれまでの調査では、商品購入後の30~45日という期間は、商材によってはお客様が購入体験の感情の低下が一巡する目途としてふさわしいタイミングの一つでは・・・と思います。

筆者は過去にアパレル系のECサイトの運営に携わっていた際、購入者へのフォローメールを購入後、どの時期に送信すれば最も適切なのか?ということを調査したことがありました。

筆者がフォローメールを通じて調査を行った要点をざっとまとめますと、下記のようになります。

【対象】

○商材はインナーウェア
○平均購入単価は10,000円前後
○購入経験者300~400人

【目的】

○購入商品のフォロー
○新商品の案内(販売促進)
○おすすめ商品の案内(販売促進)

【期間】

A.購入後15日後
B.購入後30日後
C.購入後45日後
D.購入後60日後

【実施メモ】

なるべく、対象者が重複しないように、1~2年程度の期間で断続的に実施してみました。

【結果】

最も、目的への達成率が高かったのが、Cの45日後でした。(フォローメールの開封率、そして、フォローメールからの購入点数及び購入金額が最も高かった) 次いで、Dの60日後という結果でした。

※こうした小さな実験から得られる結果については、購入者の属性や景気の良し悪し、新商品やおすすめ商品の人気・不人気などの条件も影響しますので、あくまで参考程度としてお考えください。

【感想】

制約条件は複数あるものの、インナーウェアという商材の消費スピードと10,000円前後という購入単価を考えた場合、15日や30日といったタイミングは購入者としては、”感情の熱量”が下がるには、少し短かかったのかもしれません。筆者の予想では、60日後が一番リアクションがいいかな?と事前の予想を立てていましたが、最も効果が上がったのは、45日前後ということになりました。

ちなみに、購入者の条件をインナーウェアだけでなく、スポーツウェアやアウトドアウェアに変更したり、購入単価を変更すると、また異なった結果が得られました。

【感情の熱量を忘れる仕組みについてのまとめ】

エビングハウスの忘却曲線、経済産業省の電子商取引による調査結果をもとに話題から、感情の熱量を意識したマーケティングについて記事を展開してきましたが、そのエッセンスは感じて頂けましたでしょうか。

フォローメールやウェブサイトのプロモーションにおいて、感情の熱量の変動と時系列を意識してみると、ECサイトの運営にも新しい視点が加わるかもしれません。今回の記事がECサイト運営者の方の参考になれば、幸いです。

日本でECがスタートした黎明期からEC支援を行っているマーケティング・パートナーでは、自社にて実際に複数のECサイトの運営を行っており、運用面でのサポートも現実的な提案を致しております。

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